恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

ゆっくり進めていた足が、翔平の部屋の前に差し掛かったとき。


目の前のドアが開いて翔平が姿を現した。


「もう、寝るだけ?」


「うっ、うん……」


きっとテレビが消えたのが分かって、気配を消して階段を昇ってきたことなんて無意味だったんだ。


「顔」


「え?」


「すごい強張ってる」


「あっ……」


自分でも感じていただけに、頬に手を当てた。

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