恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
誕生日が今日で良かったんだと思う。
捨てられたという悲しい日が、みんなの笑顔と笑い声に溢れた日になるから。
「んだよー。美桜はなんつーか、色気が足りないんだよなあ」
どこの女の子と比べているのか、理人があたしを残念そうな目で見ると、
「「そんなもの必要ない!」」
お父さんと翔平の声が揃う。
確かに。
まず、あたしが色気を放出する必要性が感じられないんだけど…。
それもどこに……?
お父さんもお母さんも、あたし達を本当の子供のように、そして本当の兄妹弟として育ててくれた。
お母さんからすれば、翔平がそう思うのは当然で、むしろ嬉しい言葉なんだと思う。
「タンスの肥やしにするね……理人、ありがとう」
だからあたしは。
もしかしたらおかしいのかもしれない。
――翔平に、特別な感情を抱いているなんて……