恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
「あっ…」
外に視線を取られていると、ガラスにはもう理人の姿はなく…。
慌ててキョロキョロすると、廊下を歩いていく理人の背中が随分小さくなっていた。
「理人っ……」
思わず声を掛ける。
今となっては無視されるだけだし、そっとしておこうと最近は声を掛けないでいたけど。
今日のあたしはどうしてか、そう叫んでいた。
「……っ」
それでも。
絶対に聞こえているのに明らかに無視されたと分かる背中に、それ以上の言葉を掛けるのをやめた。
やっぱり、無視は悲しいよ……。
追いかけるのもやめて、そのまま理人の背中を見送る。