恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

鞄を手に昇降口へ向かう。


それにしてもすごい雨。


空から滝のように落ちてくる雨粒を目の当たりにして、靴を履くの躊躇ってしまうほど。


それでもここにとどまるわけにはいかないし、帰らないと。


朝ついた水滴がまだ滴り落ちる傘を、ひと降りしてから開こうとしたとき。


「……翔平…?」


遠くに目を走らせていたあたしの視界をその姿が横切った。


さほど遠くない渡り廊下の向こう、小走りしながら消えていく方向は……


…体育館……?


もしかしたら自主練でもするのかな。

< 243 / 615 >

この作品をシェア

pagetop