恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
鞄を手に昇降口へ向かう。
それにしてもすごい雨。
空から滝のように落ちてくる雨粒を目の当たりにして、靴を履くの躊躇ってしまうほど。
それでもここにとどまるわけにはいかないし、帰らないと。
朝ついた水滴がまだ滴り落ちる傘を、ひと降りしてから開こうとしたとき。
「……翔平…?」
遠くに目を走らせていたあたしの視界をその姿が横切った。
さほど遠くない渡り廊下の向こう、小走りしながら消えていく方向は……
…体育館……?
もしかしたら自主練でもするのかな。