恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
―――…


――なんだか頭がぼうっとする。


普段お風呂に浸かればある程度晴れる気分も、今日は重たいままだった。


帰り道、たくさん雨に打たれたせいかな。


思えば翔平よりあたしの方がびしょ濡れだったかもしれない。


「くしゅんっ!」


あげくにくしゃみまで出始めて、今日は早くベッドに入ろうと思いながら脱衣所を出ると、


「美桜、なにかあった?」


そこに待ち構えていた翔平に腕を取られた。


「今日の美桜、なんかヘン」


覗き込むようにあたしの表情を確認するその姿が、夕方見た光景と重なった。


…莉子の腕を掴んでいた翔平と。

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