恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

「何かの…間違いだよ……」


そう信じたいあまり、なんとか口にするけれど。


「どう見たって、これ、俺の親の名前だろ」


怒りに狂うどころか、ただ苦しそうな理人に、そのショックが痛いほど伝わってくる。


文面には、あたしでさえ知っている理人の実の両親の名前。


…それが何よりの証拠。


「………理人」


これだけの事が書かれた記事を前に、もう何を言っても気休めしかにならず、ただ、小さく震える肩に手を乗せた。



理人の様子がおかしくなったのは、お母さんたちが旅行から帰ってきてすぐ。


スーツケースを片付けに行ったときに記事を発見したのなら、理人の態度が急変したその時期と誤差はない。

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