恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
3本の空き缶は、あたし達がそれぞれ1本づつ飲んだと思われ、あたしも翔平もそれを否定しなかった。
理人は無表情のまま家を出ていき、翔平は髪を掻き毟りながら階段を駆け上がっていく。
あたしは階段に足をさしかけて
「……っ」
…逆戻りさせ、玄関に向かう。
扉を開けたけれど、姿の見えなくなった理人を追うあてもなく。
「……理人、どうして…」
一人にしちゃいけないと思いながらも、探すその術が見つからなかった。
ねぇ……
あたしは理人の為に何が出来る……?
あたしは理人を……救いたいよ……
雨は止み、外は強い風だけが吹いていた。