恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

あたしはどうすればいいか迷っていた。


万が一、翔平の言うように理人があたしを想っていてくれたとしても、あたしと翔平を応援してくれていた理人にきっと嘘はない。



ただ、今回のことは……。


すべて自分の生い立ちを知ってしまったことで招いた事態。


それが理人の全てを壊した原因だと分かってるから。



今はあたしにしか、理人の気持ちは代弁できない。



「お父さん、ちょっといい?」


憔悴しているお母さんを翔平に任せ、あたしはお父さんを病室の外へ連れ出した。
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