恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
「美桜、もうメシできるよ」
少しだけ擦れた気持ちに、ふいに降りかかる声。
そこには、リビングから顔だけをのぞかせている翔平がいた。
「…うん。手洗ってくる」
意識して口角をあげ、そのまま洗面所に直行したあたしは鏡を覗き込んだ。
翔平に話しかけられるとドキッとする。
瞳が見れない。
決意は固いくせに、正直言って気持ちはまだ追いつけないあたしがいる。
……全然だめだよね……。
ほらまた。
鏡の中の自分がぼやけてく。
でもせめて
翔平の前では
あたしはうまく笑えてる――…?
ちゃんと、兄妹に戻れてる――…?