恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
……リビング……って……
シャーペンを走らせる翔平の後ろ姿を呆然と眺める。
……ここじゃ…ダメなの?
今までこんなこと一度もなかった。
分からないと訊ねれば、この部屋で勉強を教えてくれていた。
もしかして、2人きりになるのを避けてるの…?
あたしが寄りを戻したいって言うかもしれないから…?
また泣くかもしれないって思ってるから…?
「……」
スッと冷たくなっていく体を感じながら、唇をかみしめる。
今置いたばかりの教科書を抱え、音をたてないように翔平の部屋を出た。