恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

「はい……ありがとうございます」


優しい担任の気遣いに目頭が熱くなる。


でも、本当の理由はそれだけじゃない癖に、理人を言い訳にしてるみたいで理人に申し訳ない……


「あのっ…」


「なんだ?」


「翔平の方は……出来てましたか?」


「翔平か……。アイツはぁ…っと」


そう言って担任は、試験結果一覧に目を通す。


「学年で3番だ。特に変化はないな」


「……そうですか…」


……強いんだね、翔平は。


何にも動じずいつもと同じ集中力を発揮して。


あたしと翔平との間にある温度差を、また一つ痛感する。


さすがだと頷く担任に、あたしは俯くしかなかった。
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