恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

同じように状況をとらえた莉子が冷たい声を落とすと


「行こう」


翔平が今置いたばかりの鞄を肩にかけ、彩乃ちゃんにそう促してこの場を離れていく。


途端に彩乃ちゃんの目つきが変わった。


「元カノさん。自分で振っておきながらまだ未練でもあるわけ?」


「…振った…?」


怪訝な顔をする莉子に勝ち誇った顔の彩乃ちゃん。


「翔平くんはもうあたしのモノなの。今更なに言っても無駄なんだから!

あ、美桜ちゃん、あたし翔平くんとつき合うことになったの。よろしくねっ」


最後はあたしにふわりとした笑顔を向けると、翔平のあとを追うように去って行った。





頭が、ついて行かない。
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