恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
偽物の笑顔
翌日。
学校から帰ってきてまず耳に入ったのは、お母さんが料理を作っている音。
今夜は、退院祝いのパーティーをやるって言ってたっけ……。
軽やかな包丁のリズムが、嬉しさを表していた。
「よお」
スッと立ちはだかるように、あたしの前に理人が現れた。
……理人。
理人が家に居るなんて夢みたいですごく嬉しいのに……
「……お、お帰り……」
「なんだよ。もしかしてあんまり歓迎されてない?」
微妙な歓迎の仕方に、ちょっぴりふて腐れ顔の理人。
「…そんなわけないじゃん」
無理して作った笑顔がバレちゃったかな……
『―今度は、譲らない』
理人の宣言が耳にこびりついて、うまくその顔が見れないんだ。