恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

食事も終盤に差し掛かったころ。


「ねぇ、理人の療養も兼ねて、来月あたり家族で温泉旅行でも行かない?」


お母さんの提案に、理人が目を輝かせた。


「それ賛成っ!」


そして自由に動かせるようになった腕をめいっぱい宙に突きあげた。


「温泉っつっても混浴じゃねえぞ」


「チェーッ、つまんねぇの」


翔平が笑いながら言うと、理人が茶目っ気たっぷりに口を尖らせた。


「ふふふ、理人ったら」


「少しはリセットされてまともになったと思ったけど、相変わらずだったか」


「まあいいじゃないか。理人らしくてお父さんは安心したぞ。アハハハ…」


お母さん、翔平、お父さんの笑い声が順に響き渡る。
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