恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

捨てられたのは悔しい、憎い。


けど。


翔平は優しいから……


もしかしたら翔平は。


産みの親を許す自分が怖くて、あれだけ頑なに、知ることを拒んでいたのかな……



理由を知ったら……多分、許してしまうから……




下を向きながら目頭を押さえる翔平に、かける言葉は見つからなかった。


一人で背負う覚悟を決めていた翔平の背中は、大きな荷物を下ろしたように見えた。





「そして…美桜…」


席を立ったお父さんが、あたしの目の前で胡坐をかいた。



緊張が……増す……



けれどお父さんの放った言葉に、あたしは落胆した。
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