恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
「美桜は……本当に手がかりがなかったんだ…」
どうして捨てられたのかさえ、わからないの……?
自分自身を知る可能性は閉ざされちゃったの……?
認めたくない現実に、目線さえもふらつく。
「しかし」
「えっ……」
お父さんが発した言葉に、俯きかけた顔をあげた。
「美桜が5歳のとき。母親の詳細がようやく分かった」
落とされて一転。
息を吹き返したような力強い鼓動が再び生まれた。
目を見張るあたしに、同じく目を見つめるお父さん。
「彼女は……事情があって結ばれることの出来ない人との間に美桜を授かったようだ」