恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
もうあたしだけの問題じゃない。
声が出ないあたしの言葉を代弁する翔平の声もかすれていた。
お父さんは、静かに首を横に振った。
「美桜のことを考えれば、産みの親の元へ返すのが当たり前だった。だが、その時の自分にはそれが出来なかった……
最初は、時間をくれと言った。
……だが……
一つの布団の中で、翔平と理人の間に挟まれながら、安心しきった顔をして寝ている美桜を見ていたら……
この2人から……いや、
3人を切り離すことなんて出来なかった…っ」
「どうしても手放せなかったの……っ…
5年よ?5年も一緒に暮らしたのよ?
今更手放すなんて出来なかったのよ……ごめんなさい――っ…」
「……ッ…」