恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
今日も授業中はうわの空だった。
今あたしが解かなきゃいけない問題は、16歳のあたしにとってははるかに難題。
目の前の数字の羅列の方がよっぽど簡単に思える。
だって。
公式も、正解もない問題。
何が正しいの?
あたしが出した答えに、誰が〇をくれる?
「――美桜っ…」
後ろの席の子から小声で呼ばれて振り向くと、あたしに小さな紙きれが渡された。
「何?」
その子が指さした先は……翔平。
翔平はこっちに見向きもせず、先生の話を真剣に聞いている。