恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

理人は葵ちゃんと同じ目線までしゃがみ、その肩に優しく手を掛けた。


「キミよりちょーっとだけ長く生きてるお兄さんの戯言聞いてくれる?」


いつも女の子と談笑してる時みたいな、人懐っこい笑顔を向けて。


「俺達3人はね、兄妹弟だけど、血のつながりはないんだ」


「……っ…」


葵ちゃんの震えていた肩が一瞬止まる。


そして、涙でグチャグチャになった顔を、隠すことなく上げた。


理人は葵ちゃんを抱えるようにして起き上がらせると、近くにあった植え込みの段差に座らせた。
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