恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
伝えたいこと
『送って行こうか』…そう言った理人に、葵ちゃんは『これから塾だから』と一人で駅の方向へ走って行った。
「じゃあ……俺達もボチボチ帰りますか」
あれだけラーメンを食べに行くと張り切っていた理人が、真顔で駅の方を指さす。
「そうだな」
翔平も淡々と答え、足を進める。
…帰る……。
そうだよね。
帰るつもりだったんだから……
「おーい美桜、置いてくぞー?」
顔をあげると、変わり始めた信号の手前で理人があたしに手を振っていた。
「…っ、待って…」
あたしは遅れを取り戻すように、小走りしながら2人を追いかけた。