恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
ここから直接タクシーで向かう。
タクシーに乗っている間、隣に座っていた翔平はずっと手を繋いでいてくれた。
助手席に座っている理人が、ふいに振り返る。
「……」
軽くアイコンタクトを取ってからまた前を向いた。
思わず体の下に隠したけど、繋いだ手は見られちゃったかもしれない。
理人にも……後でちゃんと話さないと……
「あたし、一人で行ってくる」
昨日と同様、家の少し手前でタクシーを降りると、一緒に歩き始めた2人に言った。
「大丈夫か?」
翔平は心配そうに言ったけど。
最初からそう決めてた。
「一人で……行きたいの」
さっきの勇気があれば、きっと大丈夫――…