恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
「…あらっ?タイマーってどうやるのかしらっ……」
今更そんなことを言うお母さん。
「母ちゃん!」
「お母さん!」
「母さん!」
あたし達3人の声が重なる。
も~、笑顔をつくり過ぎて顔が引きつっちゃったよ。
「…ったくー、いっつもこれだよー」
「貸してみろって…」
苦笑いしながら、機械音痴のお母さんの元に翔平と理人が駆け寄っていく。
お父さん、お母さん、翔平、理人、そしてあたし。
5つのピースは、もう欠けることはない。
自信を持って言える。
血のつながりはなくても、16年という永い年月が、間違いなくあたし達を家族にしてくれたから。
あたしの……自慢の家族……。
この先も、みんなでこの風景をずっと見ていきたいな。
翔平と理人の姿に笑みをこぼし
あたしは桜の木を見上げた。
家族5人はまた一つ、新しい春を迎える―…
許される恋じゃなくても
-END-