恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
いけない箱でも覗いているような気持ちに苛まれながらも、あたしの目は画面にくぎ付けになっていた。
「……?」
気配を感じて隣を見ると、いつの間に帰って来たのか翔平が並んで画面を直視していた。
また、別の緊張に支配される。
あたし達の間で、実親の話は暗黙のうちにタブーとなっていたから。
だから……
翔平が何を思いながらこの番組を見つめているかは分からない。
『あの時は、こうするしかなかったんです…』
依頼者が涙ながらに懺悔の言葉を口にした瞬間――
翔平が体を翻した。
そのまま無言でリビングを出ていく。
―――くだらない。
翔平の背中は、そう言っているように思えた。