恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
振り返ると、バッシュを手にした1年のバスケ部員が立っていた。
「…っ、ごめんなさい」
入口を塞いでいたことを謝り、慌てて脇へずれて彼の通り道を作る。
彼は一度首を傾げたけど、特に何を言うでもなくバッシュに履き替えて体育館の中へ入って行こうとする。
「あのっ……」
それを阻止するように、あたしは思わず声を掛けていた。
どうしても、聞きたくて-…
「なに?」
理人に雰囲気の似た人懐っこそうな彼は、耳をこっちに傾けてくれた。
「あの……水沢くんて、マネージャーの本宮さんとつき合ってるの?」
恥もへったくりも捨てて、単刀直入に問いかけた。
名前も知らない人に聞くのも変だけど、 本人に聞けないし、彼の雰囲気も手伝って。