恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
涙、見られたくないのに……。
泣く女は、嫌いなんだから。
床の木目を映しながら必死に涙をこらえていると、
「聞いてんのか、ちゃんと目を見ろよ!」
取られた腕は思った以上に力強くて、あたしの体はぐらりとよろめいた。
白いシャツが一瞬触れ合って、すぐに離れる。
翔平にきつく握られたまま強制的に合わせた瞳には、怒りを通して呆れすら覗えた。
もう、このまま声をあげて泣き出してしまいたい――…
「理人のことだって…」
そこで言葉を噤んだ翔平は、一呼吸置くように髪をクシャっとかいた。