305号室の男。【完】
「奈緒…」



「行かなくちゃいけないの。お願い…。連れて行って…?」



躊躇いがちに言うと



「あぁ、分かった」



そう言って、車を発進させた。



「あ、次の信号右です…。で、突き当りを左で…」



あたしは、助手席でナビをしている。



そして…。



「ここ…。ここに、詠二がいるの」



詠二が眠ってるお墓に着いた。



最初の頃は、毎日のように来ていた。



車で2時間は、かかるこの道。
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