305号室の男。【完】
「……んっ…」



頭がボーッとしてきて思わず漏れた声に、やっと離してくれた。



そして親指で、あたしの唇をなぞり。



「奈緒。部屋…、行こうか」



「……うん」



あたしの手を握り立ち上がった。



あたしだって、子供じゃない。



あんなキスをされて、部屋に行こうと言われたんだ。



これから何が起こるかくらい…、分かる。



でも、もう迷いなんてない。



あたしは大智さんが…、好き。



「奈緒の部屋に、行こうか」



一瞬疑問に思ったけど305号室で、たくさんの女を抱いてきたんだ。
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