305号室の男。【完】
反射的に胸を隠すと。



「隠されると、余計見たくなる」



あたしの手を退け、胸にキスを落とされた。



「……んっ…あっ…」



声が漏れると、大智さんの手が胸からお腹、お腹から下に降りてくるのが分かった。



思わず手を掴むと。



「だから…、そうされると余計にしたくなるだけだって」



やっぱり余裕の笑みを、かましてくる大智さんはズルイ。



「……んぁっ…、大智さん…す、き…」



「俺も…、奈緒が好き、だ」



大智さんが動くたびに、あたしの中の何かが壊れていく。



何度も、何度も名前を呼びあった。
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