305号室の男。【完】
「……っ。雅、お前な…」



大智さんは、雅を睨み付けると。



「だって、本当のことだろ?」



くくっ、と雅が笑った。



「あ、もしかして。雅の好きな人って、桜さん…?」



これは、あたしの直感。



そんな気がしたから。



「おぉ、女の直感ってスゴイねぇ!」



“そうだよ、俺は桜が好きだったよ”そう言って雅は顔を伏せた。



「じゃぁ…、大智さんは桜さんと付き合ってた…?」



大智さんを見上げ聞くと。



「……あぁ…」



躊躇いがちに答えた。



そっか、桜さんはまだ大智さんが好きで雅は桜さんを好きなんだ…。



きっと、まだ…。
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