305号室の男。【完】
それから3人の話を聞いた。



当時3人で良く遊んでいたこと。



大智さんも雅も、桜さんを好きだったこと。



そして、桜さんは雅じゃなくて大智さんを選んだこと。



2人が付き合って、雅が身を引いたこと。



突然、大智さんが桜さんを振ったこと。



その原因は、大智さんがあたしと出会ってしまったことだって大智さんは言った。



“桜を抱いても奈緒を重ねてしまって悪いと思った”と…。



“だったら、寄ってくる女を抱いてたほうが罪悪感はなかった”と…。



急に女遊びをしだした大智さんに、桜さんも諦めかけてたという。



「なのに大智はいつの間にか女遊びをやめて一人の女に夢中になっていた。それが、君。奈緒ちゃんね」



雅の言葉は続く。
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