305号室の男。【完】
「葵、帰ろう?」



「あ…。はい」



奈緒は大智を見ることなく横を通り過ぎた。



そしてお会計をして外に出た。



「奈緒さん、良かったんですか…?」



「良いも何もあたしが決めることじゃないし」



「奈緒さんっ…」



「えっ!?ちょっと!!何で葵が泣くの!?」



葵はボロボロと泣いていた。



「だって…。せっかく奈緒さんが前に進めそうだったのに…」



「あたしなら大丈夫だから、ね?」



「……はい」



何故かあたしが葵を慰めてこの日は解散となった。
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