305号室の男。【完】
危害与えるって言われたから送ることにしたって…。



家で、あたしの帰りを待っててくれたって…。



「まぁいい。帰んぞ、ほら」



大智は立ち上がり奈緒の前に手を出した。



「手くらい、いいだろ?ダメか?」



この言葉に奈緒は横に首を振り手を出し、そのままグイッと引っ張ぱられ立ち上がった。



「なぁ。詠二って誰だよ。奈緒の好きな奴か?」



「……っ!!」



聞かれてたんだ…。



「言いたくねぇならいいんだけどよ」



大智は歩き出した。



「…付き合ってたの」



奈緒が止まり俯きながらポツリ呟くと大智も止まり奈緒を見た。
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