305号室の男。【完】
「……っ」



「は?何で泣くんだよ!?俺、何か言っちまったか!?」



「ち…違うの。ごめんね。詠二はね…」




「あー、ちょっと待った。奈緒の話ちゃんと聞きたい」



「ちゃんと…?」



「あぁ。目ぇ見て、ちゃんと聞きてぇんだ」



「………」



「ほら、行くぞ」



「…うん」



あたしは繋いだ手を離すことができず、そのまま家まで歩いた。



「奈緒、今度は俺の部屋で話しねぇか?」



「え?あ、うん。いいけど」
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