305号室の男。【完】
大智の部屋に初めて入る。



とてもシンプルな部屋だ。



テレビがあってテーブルがあってソファーがあって。



余計な物は一切なかった。



「奈緒、来いよ」



立ち尽くしてた奈緒に声が掛かり、大智の隣に座った。



「奈緒、さっきの続き」



「あ、うん…。あのね…」



「あぁ」



あたしは、この人に話してみようと思った。



何となく話したくなったんだ。



この人に。



詠二との過去の話を。
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