305号室の男。【完】
喧嘩もあったけど、あたしが謝る前に必ず詠二が




「奈緒ちゃんごめん。ちょっと言い過ぎたね」




いつも謝ってくれた。




あたしが悪くても、いつも先に…。




いつだって詠二は優しかったんだ。




誕生日、クリスマス、バレンタイン、お正月、記念日。




毎年必ず休みを取って一緒に過ごした。




こんな日が、ずっと続いてほしいと思っていたし続くと思っていた。




詠二との将来だって、お嫁さんになれたらな…って、いつも思ってた。




子供は2人くらいで…って想像したり。




でも…そんな願いは叶わなかった。
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