305号室の男。【完】
あたしが、しっかりしないと。



泣くのを止め立ち上がった。



救急隊の人と一緒に行こうとした時



「すっ、みません…。ごめんなさ…いっ…」



30代くらいの女性が子供を抱いて泣きじゃくっていた。



「この子が…飛び出したん、です…。その時、この方が来て…っ」



そっか…。



詠二は責任感が強かったもんね。



困ってる人がいたら必ず助けていたもんね。



“人殺し”



“詠二を返して”



言いたかったけど言えなかった…。
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