305号室の男。【完】
「大丈夫だよ?あたしは、ずっと詠二の傍にいるから。ずっとずっと詠二が好き。他の男のところには、いかないよ?」







安心したのか詠二は笑った。







「奈緒ちゃん、ありがとう…。嬉しいよ…。でもね?もし僕が死んでしまったら…その時はさ?悔しいけど奈緒ちゃんには…幸せになってほしいから…だから…良い人見つけてよね…?」







「そんなことっ…言わないでよっ…」







「でも…やっぱり…悔しいな…」







「詠二…?」







「悔しいから…言うね?本当は今日、渡そうと思ってたんだ…。これ…もらってくれる…?」







辛そうに手を動かしポケットから出したのは、小さな箱だった。
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