305号室の男。【完】
お通夜、お葬式が終わった。



「奈緒ちゃん、寝れた?」



「…少しだけ」



この人は詠二のお姉さん。



詠二と付き合ってすぐに紹介され妹のように良くしてくれていた。



「そう?でも奈緒ちゃん目、腫れてる。相当泣いたでしょ?」



「……っ。だって…。でも、そういうお姉さんだって目、腫れてますよ…?」



お姉さんの目も腫れていて少し、やつれてたようにさえ見えた。



「まさかっ…詠二が、あたしより早く逝くなんてね…」



お姉さんは、口元を覆いながら泣いてしまった。



「ごめんなさいっ…。あたしのせいだっ…」



「奈緒ちゃん…?」



「あたしが毎年お祭りに行きたいって言ったの…。あの日、詠二と会わなければ、こんなことにはならなかった…」
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