305号室の男。【完】
詠二はとても綺麗な顔をしていた。



“奈緒ちゃん”



そう言って起きてきそうな顔だった。



やっぱり受け入れたくない…。



「や…だ…」



「奈緒ちゃん…?」



「やだっ!!詠二!!あたしと結婚するって言ってくれた!!この指輪どうすればいいのよ!!渡しておいて他に良い人探してなんて!!詠二ずるいよ!!」



一人、取り乱した。
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