305号室の男。【完】
ううん、触れてほしかったのかもしれない。



大智さんが、あたしを見て微笑んだ。



「…………っ」



その優しい微笑みに、あたしの心臓は飛び跳ねた。



「好きだ、奈緒」



「えっ……」



突然の告白に、頭が付いていかなかった。



「ずっと、好きだった」



「ずっと、って…」



今まで優しく微笑んでた大智さん。



だけど「ずっと…、好きだった」と言った時の顔は悲しい微笑みだった。
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