305号室の男。【完】
「俺とお前が初めて話した時のこと覚えてるか?」
視線を外しながら話す大智さんに
「あ、うん。覚えてるよ?鍵失くした時のことでしょ?」
そう言ったあたし。
忘れるわけがない。
隣の部屋で毎日BGMを聞かされ、その男に話し掛けられたんだもん。
「あれさ、嘘…」
「はい?」
「あー、いや、だからさ…。鍵失くしたっていうのが、嘘…」
段々と声が小さくなっていった大智さん。
視線を外しながら話す大智さんに
「あ、うん。覚えてるよ?鍵失くした時のことでしょ?」
そう言ったあたし。
忘れるわけがない。
隣の部屋で毎日BGMを聞かされ、その男に話し掛けられたんだもん。
「あれさ、嘘…」
「はい?」
「あー、いや、だからさ…。鍵失くしたっていうのが、嘘…」
段々と声が小さくなっていった大智さん。