305号室の男。【完】
「えっ!?う、うそ…!?」



全然、意味が分からない…。



「俺さ、結構前から奈緒のこと知ってたのな。偶然見かけて…。でも、どうやって話しかけりゃいいか分かんなかった」



あぁ、話し掛けなくても向こうから寄ってきてたんだよね、きっと。



「何度も何度も、話し掛けようとした。けど、奈緒に嫌われんのが怖くて、無理だった」



話し掛けようとしてくれてたんだ…。



でも、きっと話し掛けられても無理だっただろうな。



「だから、あんな嘘付いた。奈緒と話したくて、悪ぃっ!!」



大智さんは頭を下げた。
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