ハムスターランド(信州シリーズ2)

不倫

○道、夜
   陽子が運転する車が止まっている。

○同、車の内、夜
   陽子と酔った秀夫が話している。
陽子「今日は帰る日ですよ」
秀夫「分かってる」

陽子「これを飲んでいってください。ぐっすり眠れます」
   陽子、コップに錠剤を入れかき回す。
   錠剤はいつもより多い。
   秀夫は外を見ている。

秀夫「家はすぐそこだから、ここから歩いていくよ」
陽子「これ、一気に飲んでください」
   秀夫、一気にコップを空ける。

○道、夜
   陽子が運転する車が止まっている。
   一気にコップを空ける秀夫が見える。
   英子、歩いてきて車の中の秀夫に気づき隠れる。

   車のドアが開いて秀夫が下りる。
   車、ゆっくりと動き出し遠ざかる。

   疲れた足取りで、秀夫歩き出す。
   英子、ゆっくりと秀夫に近寄る。

英子「今の人だれ?」
秀夫「ああ、お前か。見てたのか?」
英子「ええ、ちょうど通りかかって・・。きれいな人ね」

   二人歩き出す。
   秀夫はだいぶ酔っている。
秀夫「仕事を手伝ってもらってる」
英子「・・・・」
秀夫「秘書だ」

英子「うそよ。スパイよ、あの人。
   もうすぐ乗っ取られるわ、あなたの会社」
秀夫「なんだって?何故お前そんなことを知ってるんだ」

英子「田中さんから昨日の夜電話があって、気をつけてくだ
   さいだって。今日、あなた一日会社にいなかったでしょ
   う。今頃あの女が調査室の資料を全部盗み出してるわ」

秀夫「バカなことばかり言うなよ」
   秀夫の首筋に紫色の斑点が浮ぶ。

○晶子の家、玄関、外、夜
   やるせない怒りの表情で玄関に立つ秀夫。
   その後ろに英子。
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