ハムスターランド(信州シリーズ2)

事件

○晶子の部屋、夜
   ハムリンと戯れている晶子。
   ゲージを開けてハムリンを外に出す。
   駆け回るハムリン。

○晶子の家の階段、夜
   元気一杯階段を下りるハムリン。
   晶子、上から声をかける。
晶子「ハムリン、ハムリン!そこ行っちゃだめ!」

○同、玄関、内、夜
   玄関のドアが突然開く。
   立ち止まり驚くハムリン。
   秀夫が入ってくる。

秀夫「もういいじゃないか、そんな事」
   英子も入ってくる。

晶子「(2Fから)お帰り。あっハムリン!」

   ハムリン、秀夫に飛び掛り噛み付く。
秀夫「あっ、このやろう。畜生、ネズミまで
   俺をバカにしやがって」

   ハムリン、飛び降り階段へ。
   秀夫、よろめきながら靴を脱ぎあがる。
秀夫「くそっ」

晶子「(二階からの声)ハムリン、こっち!」
英子「あなた!」

○同、階段、夜
   恐ろしい形相で階段を這い上がる秀夫。
秀夫「殺してやる」

   必死で駆け上がるハムリン。
晶子「ハムリン、早く中へ入って!」

○同、晶子の部屋、夜
   奥のゲージへ飛び入るハムリン。
   後ろ手にかばって階段を見つめる晶子。

   脇にハムスターの置物がある。
   晶子、手にとって頭上に構える。

   額から血を流しものすごい形相で秀夫が現れる。
   その瞬間目をつぶって思い切り陶器を投げつける晶子。
   晶子、そのままひっくり返り気絶する。

秀夫「わーっ!」
   階段を転げ落ちる大きな音。
   階下の英子の絶叫、
英子「キャーッ!下りてこないで晶子!来ちゃだめよ、キャーッ!」

○同、玄関、内、夜
   階段下に秀夫が横を向いて頭から血を流し倒れている。
   頭上と回りには粉々になった陶器の破片と血だまり。
   脇で英子が泣き崩れている。

   玄関のドアが開いて隣人が駆け込んでくる。
隣人「どうしたの奥さん?あっ」

   隣人、異常な状態に気づく。
   英子、放心状態で立てない。低い声で、

英子「主人が階段から転げ落ちて。打ち所が悪かったみたい、
   すみません、救急車と警察を呼んでください」
隣人「あっ、はい」
   隣人、慌てて玄関を出て行く。   
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