ハムスターランド(信州シリーズ2)

楽焼

○レジャーランド、内、早朝
   若林がジョギングをしている。

○同、遊戯エリア、早朝
   晶子が向こうに見える。
   若林が現れ、走りながら、

若林「晶ちゃん、おはよう!」
晶子「おはようございます」
若林「ハム君たちによろしく!がんばってね」
晶子「ありがとうございます。がんばります」

   二人手を振り笑う。
   若林、走り去る。
   晶子、ハムスターに手をやり。

晶子「ハムリン!昔の大好きだった頃の
   パパが帰って来たみたいね(笑む)」

○楽焼教室、外
   レジャーランド内の楽焼教室。
   看板が出ている。
   『楽しい楽焼』

○同、内
   若林が楽焼に挑戦している。
   他に何人かの客。
   先生らしき老人が若林を覗き込む。

若林「どうですかこれ?ハムスターに見えますか?」
先生「ハムスター?これはどう見ても・・・・」
若林「だめですか?」

先生「この脇にハムスターと書かれたほうが・・・」
若林「そうですか。それじゃ、ハムスターアッキー
   と書いておきましょう、ハハハ」

   狸のようなハムスターの置物。

○レジャーランド、内、早朝
   楽焼を持って走る若林。

○同、遊戯エリア、早朝
   向こうに晶子の後姿が見える。
   若林が現れる。

若林「おはよう晶ちゃん!これおみやげ!」
   晶子、振り向き、
晶子「おはようございます。おみやげ?」
若林「これ、私が作りました」

   若林、楽焼を晶子の目の前に差し出す。
   晶子、まじまじと楽焼を見つめ、
   恐怖の表情に変わる。
   若林、楽焼を背後に隠す。

若林「ごめん。何かあるんだね?
   心苦しいことが何か?」

   晶子、無言でうなづく。
若林「よし、じゃきょうの夕方出口で待ってる」

   晶子、大きく息を吸って無言でゆっくりとうなづく。
   若林、若林、目で確認して走り去る。
   晶子の目に大粒の涙。
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