パッセージ
「いやー、実は、映画誘おうと思って」
笑顔のまま、パンフレットを見せてくる。
「また?前、断ったよね。行かない」
「まあまあ。今回のは結構好評なんだよ」
あらすじを喋り出す吉田君を見ながら溜息を我慢する。
手に押し付けられたパンフレットの映画のタイトルを見る。
「…見たかったやつだ」
奏汰を何度も何度も誘ってる映画。
「えっ!じゃあ行こうよ!」
嬉しそうに笑う吉田君は自分と似ていると少し思った。