パッセージ
「やっぱお似合いだよね、凪紗先輩と奏汰先輩」
「羨ましいなー」
凪紗?
凪紗って去年文化祭のミスコンで優勝してた涼川凪紗さん?
去年、中学3年生だった私は当時高校1年生だった奏汰の、この学校の文化祭に来ていた。
そこで1年生なのに、2、3年生を抜くほど綺麗な人がミスコンで優勝しているのを見た。
その人の名前が涼川凪紗さん。
その人に少し憧れたから、ちょっと…いや、ものすごく覚えてる。
「花厳?なあってば!」
吉田君の声にハッとしたとき、奏汰がこちらに気付いた。
「あ、羽海。…あのさ、」
歩いてた足を、私の前で止める。