パッセージ
第3章-デート-
*羽海side*
どうせなら、ラフな格好よりも可愛い格好をしていこう。
そう思いながら選んだ春色のワンピースとブーツ。
よく着る服ではないから鏡の中の自分に微かな違和感を覚えながらも家を出た。
一緒に行くのは吉田君だし、少々変でもいいや。
ドアを開けて外に出る。
少し曇った天気で、私も釣られて曇気分になる。
「何さ。別にいいもん。奏汰のバカ」
小さく呟いた時、隣の家のドアが開く音がした。