パッセージ
昨日廊下で喋っていた男と一緒だった。
「あれまー、ホントに羽海ちゃんじゃん。なになに?デート?」
茶化すように言う佑樹。
冗談じゃない。
何なんだよ、アイツ。
オレのこと散々好きって言ってたくせに、他の男に言い寄られると直ぐそっちに行くのかよ。
「…まあまあ、そんな怖い顔すんなって!羽海ちゃんなら大丈夫だろ。一途そうだし」
佑樹がなだめるように肩を叩いてくる。
いや待て、何でオレがイライラムカムカする?
別に羽海が誰といようが関係ない。
「佑樹。帰るぞ」
楽しそうに笑う羽海と男に背を向け、向こうに気付かれないうちに。と歩き出す。
「え!?おい、ちょっと待てよ」