パッセージ
「オレ、中学3年のときに、友達に誘われて偶然今の高校の文化祭に行ったんだよ」
「あ、私もその日行ってたよ」
吉田君は小さく頷きながら、私の目を真っ直ぐに見た。
「その時のミスコンで、席が隣だった子を好きになったんだ」
「へー…」
「………」
ミスコンは屋外で行われたため、外に沢山のパイプ椅子が綺麗に並べられた。
そこで、涼川先輩を見たんだっけ…。
「えーと…、それで?話は?」
「やっぱ、覚えてない?」
吉田君は、寂しそうに、自嘲気味に微笑んだ。